ベトナムで注意すべき病気は、日本とは違う気候風土が原因のものと、衛生状態の悪さからの食中毒による感染症の大きく2つに分けられます。
日本での生活と同じペースでは、強い日差しで熱中症になったり、強烈な紫外線でひどい日焼けをしてしまうこともあります。 また、暑いからと言ってエアコンでキンキンに冷えた部屋にいたり、長時間扇風機の風にあたり続けたりすると、簡単に風邪をひいてしまいます。
ベトナム人は軽い体調不良には決まって抗生物質を使う習慣があるのですが、あまり多く服用すると潜在的な免疫力が低下し、いざというときに効かなくなるので注意が必要です。
また、食中毒はベトナムに長期滞在の経験がある人なら必ず一度は体験すると言っても過言ではありません。
吐き気や下痢が数日続くという軽い症状であれば、正露丸などでも十分に対応できますが、高熱がでたり、長期でひどい下痢や痙攣などの症状がある細菌性の感染症であれば病院に直行しましょう。
海外旅行保険に加入しているなら、事前に受け入れてくれる病院をチェックし、保険証書のほかに携帯用のカードなど、有事の際の持ち物の用意も忘れずにしておきましょう。
(長期の入院となると医療費が1000ドル以上になることもあるので、海外旅行保険への加入は必須)短期の旅行で田舎や地方に行かない場合は、日常的な心がけだけでも多くの病気を未然に防ぐことができます。
自己管理
飲食物に気をつける
水
日本は軟水、ベトナムは硬水なので、硬水に慣れていない日本人は渡越初期に下痢を起こしやすい。特に短期滞在であれば、体への負担も考慮して軟水のミネラルウォーターで通すのが無難。また、煮沸していない水道水は飲まないこと。
生野菜
地方の店や都市部でも衛生状態の悪そうな店では、生野菜は口にしない方がよい。肥料に人糞を用いることもあり、野菜に寄生虫がいる可能性もある。
カットフルーツ
カットされて売られているフルーツはカット後長時間たっていると細菌が繁殖している可能性があり危険。原則フルーツは丸ごと購入し、自分でカットして食べたい。
氷
ドリンク類に入っている氷は煮沸していない水道水から作られている場合があるので、確証がないときは口にしないほうがよい。
魚介類
魚介、貝類はできれば生で食べないこと。寄生虫や病原菌がいる可能性あり。
慎重に行動する
帽子
ベトナムの日差しは日本よりもかなり強烈。熱中症を避けるために帽子をかぶろう。日本では普段かぶらない人も、かぶろう。
動物
特に狂犬病が怖いので、動物には極力近づかないように。犬だけでなくネコや牛や馬も病原菌を持つ可能性があるので、これらの動物には注意しよう。
ヒルなど
特にメコン川流域には大型の吸血虫がいるので注意。感染すると最悪の場合命を落とすこともある。
虫
蚊に刺されることでマラリアやテング熱を発症する危険があるので、特に地方や山岳地帯へ行く場合は虫よけグッズを持っていこう。
エアコン/扇風機
慣れない暑さについエアコンや扇風機をつけたまま寝てしまうこともあるが、長時間冷風をあびると風邪をひきやすいので注意しよう。
医療事情と病院
持病があるなら日本から薬を持参するのは必須ですが、そうでなくても正露丸などの基本的な薬は用意しておきましょう。
現地の薬局を利用する手もありますが、そこには不安も少なからずあります。 そして、ベトナムで罹る病気は、日本の薬では対処できない東南アジア特有の感染症である場合が多いのが実態です。
重篤な症状の場合は、素直に病院にいくほうが身のためです。
言葉が通じず症状が伝えられないという不便や衛生面での問題があるので、できれば現地人向けの病院は避け、 都市部の大病院や外国人専用の病院か、外国人外来の窓口がある病院を選び、事前にリストアップしておきましょう。
海外の病院検索
ベトナムでかかる病気
健康管理には気を付けていても、病気はかかる時にはかかってしまうもの。
かかる可能性のある病気をしっかりと把握しておきましょう。
マラリア
蚊に刺されることで発症するウイルス性感染症。ベトナムでのマラリアはほとんどが薬剤耐性(薬が効かない)のもので、数週間の潜伏期間の後、高熱、悪寒、震え、目の充血、頭痛、吐き気、嘔吐、筋肉痛などが周期的に起こる。種類によって周期は異なるが、3週目に発熱したらかなり危険な状態で命に係わる。マラリアかもと思ったら、一刻も早く病院で診察を受けること。
食中毒
主に保菌者が触れた食物や、汚物、接触により経口感染する。症状としては、倦怠感、下痢、嘔吐、発熱。細菌性の食中毒への対処で最も大切なのは、なるべく早く細菌を体外へ出すこと。そのためには、下痢止め薬はあえて使用せしないことだが、同時に嘔吐や下痢などによって脱水症状にならないよう十分な水分補給をする。ベトナムでの代表的な食中毒は、コレラ、赤痢、チフス、SARSなど。
デング熱
蚊に刺されることによって感染するウイルス性感染症。ベトナムでは地域を問わず発生し、数年おきに流行している。2~7日程度の潜伏期間の後、高熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛などが数日続く。ひどくなると死亡することもあるので、疑いがある場合は早急に医師の診察を受けること。
ウイルス性肝炎
ベトナムで掛かりやすいのはA型肝炎。肝炎患者の糞尿から、またウイルスに汚染された魚介類などから感染する。症状は、発熱、倦怠感、食欲低下などが数日続く。疑いがある場合は早めに医師の診察を受けること。
エイズ(AIDS)
エイズ(AIDS)は性交渉および麻薬中毒者との覚醒剤の注射器での回し打ちによりかかる。各人の良識次第である。
寄生虫・原虫
ベトナムで寄生虫や原虫に寄生されるケースは、生モノの摂取、河川での遊泳時、裸足での歩行時に起きている。主に消化器官に寄生し、腹痛、下痢、体重減少などの症状が発生する。
日本住血吸虫
住血吸虫というヒルのような細長い虫が、淡水性の貝の摂食時、河川や沼地での遊泳時などに皮膚を破って体内に侵入し、発熱、腹痛、下痢、皮膚炎などを引き起こす。
鳥インフルエンザ
ベトナム国内の動物園や鳥類園に行けば、鳥に囲まれることは容易である。が、鳥インフルエンザを避けるには、「生きた鳥に近づかない」「鶏肉は必ず加熱調理して食べる」の2点を守ること。ベトナムでは比較的情報もオープンで対策も進んでいるので、上記の2点を励行すれば感染の危険は少ない。
皮膚疾患
日本より年中を通して湿度が高めのベトナムでは、よくあせもができやすいので、薬を持参するか、薬局や病院で症状を説明して薬を出してもらおう。また、ダニやアリなどに噛まれることで目立つ跡が残ってしまうケースもある。
枯葉剤
南部のメコンデルタ地帯ではベトナム戦争時に散布された枯葉剤が局地的に残存している場合があるので、妊娠中の人は特に、当該地域で野生の果物などを食べないようにしたい。
この記事は「ふむふむベトナム」の許可を得て一部加筆修正し転載しています。